猫をしつけることってて?きるの?

犬のしつけ教室は沢山ありますが、猫は聞いたことがありません。また芸をする猫もいなくはないですが、犬に比べると少ないです。

私が昔飼っていたチュンという黒猫は、ボールを投げると、まるで犬のように咥えて戻ってきました。

しかし、チュンは大人になるにつれ、その技をしなくなりました。おそらく子猫の時は、自分が遊びたかったので持ってきていたのが、成猫になると、そんな単純な遊びは面白く無くなったのでしょう。

ここに猫にしつけや芸を教える時のヒントが隠れていると思います。

主役は猫

犬をしつける時、犬は集団の中で順位をつけるので、飼い主は犬よりも順位が高いと理解させる必要があると聞いたことはないでしょうか。

これは犬の社会では直線的順位制度を採用しているからです。

直線的順位制度とは、群れの中でトップから下まで順番に序列を決める制度です。

猫の順位制度

一方、猫はそういった制度を採用していません。多くの野生のネコ科動物は、一生のほとんどの時間を一人で過ごすため、縄張り争いはありますが、犬のような社会を作りません。

そのため、上から猫に指示を出してもまず従いません。猫にとって、指示に従うメリットがないからです。

猫を叱ってはいけないというのも、猫には怒られて反省するという発想がないので、攻撃的に怒鳴られたと感じて、むしろ関係を悪化させるからです。

爪とぎを思った場所でして欲しい時は、猫が思わずそこで爪とぎをしたくなるような環境を作りましょう。

つまり、爪をとぎたくなるようなボード(木製、ダンボール製)を、とぎたくなるような場所、高さに設置します。多くの場合は、飼い主さんが希望する場所よりも、猫がいつも爪とぎをしている柱などにボードを設置するとうまくいきます。

どうしてもそこでは爪とぎをして欲しくない場合、その場所の快適度を下げ(爪とぎがしづらいツルツルの保護シート、障害物を置く、猫の嫌う臭いなど)、他の場所により魅力的な爪とぎ場所を作ってあげましょう。

トイレも同様で、「しつける」というよりは、猫にとって快適なトイレ環境を作れば、自然とそこで用を足します。

もしもあなたの愛猫が布団の上で用をたしてしまうのであれば、それは布団の方が実際のトイレより快適な場所になっているからです。(もし布団の上でしてしまうのであれば、布団の方がふかふかで広く落ちついてトイレができるからです。)

快適なトイレの基準は人間と一緒で、清潔(良く掃除がしてある)、静か、十分なスペース、この3つが基本です。それにプラスして、猫独特の評価基準として砂の種類があります。

砂の種類は、猫によって好みが異なりますが、鉱物タイプの砂が一番好まれた、という研究結果があります。あくまで「猫に使ってもらう」という立場からアプローチするとうまくいくでしょう。

一方で、トイレに不満はなくとも、猫は強いストレスを受けると、自分の臭いを家中につけることで、心を落ち着かせようともします。そういったケースでは、ストレス要因を特定することが、解決に向けてとても大事です。

ストレス要因としては、他の猫との不仲、来客、衝撃的な体験(地震、近所の交通事故などの衝撃や音など)などが挙げられます。

また、発情期中も縄張りを強く意識するので、マーキングとして色々なところに臭いをつけます。

猫の芸

猫に芸を覚えさせる「クリッカートレーニング」というものがあります。クリッカーとは、押すとカチッと音がなる小さな装置です。いくつかのステップを踏んで芸を覚えることができます。

PetSafe社のクリッカー Click-R

(PetSafe社のクリッカー Click-R)

1.まずはクリッカーを鳴らし、すぐに猫が大好きなものをあげます。この時、単純にいつものドライフード(カリカリ)をあげるよりも、その猫が本当に大好きなもの、例えばササミやマグロを用意するとうまくいきます。そして、クリッカーの音のすぐ直後におやつを与えるのがコツです。

2.次に猫の前に指をかざし、猫が指に鼻を近づけたらカチッと鳴らし、おやつをあげましょう。これを繰り返すことで、猫は飼い主さんの指に鼻をタッチすると、おやつがもらえることを学びます。

3.これを応用して、猫が前手で飼い主さんの手にタッチした時にクリッカーを鳴らし、おやつをあげます。徐々にタッチする位置を高くすれば、ハイタッチができるようになります。

少しずつ目標とする行動に近づけていくコツをマスターすれば、ゴロンと横になったり、台の上にジャンプなど、犬が得意とする芸も覚えることができます。

最初に鼻をタッチする行動を選ぶ理由は、比較的猫にとって自然な行動だからです。猫が無意識にやっている行動を少しずつ変化させて(ハイタッチなら少しずつ高くする)いくのがコツです。

行動学では、このようにある条件(今回の場合はクリッカーの音)を満たすと良いことがあると覚えることを、古典的条件付け、ある行動(今回の場合は指に鼻でタッチする)をすると良いことがあると学ぶことを、オペラント条件付けといいます。

クリッカートレーニングはこれらを応用して芸を覚えさせています。クリッカー自体は500円ぐらいで買えるので、興味がある方はチャレンジしてみましょう。

まとめ

猫をしつけることはできますが、犬とはアプローチが異なります。これを「しつけ」と呼ぶのか疑問がありますが、爪とぎやトイレは、猫が思わず使いたくなるような場所や、素材のものを選ぶことが大事です。

そして芸を覚える時も、猫が楽しむことが大切です。この行動をしたら大好きなおやつがもらえる、と覚えさせたら、こっちのものです。クリッカートレーニングは、ただおやつをあげるよりも、運動になりますし、飼い主さんとコミュニケーションをとることができます。

うちのこは難しいかも、と感じてもやってみると、案外うまくいくかもしれません。ちなみに、食い意地が張っている猫の方が、頑張って芸を覚えます。