カーミンク?シク?ナル_s

その昔、犬は家畜として扱われた時代がありました。しかし、今ではどうでしょうか?
犬が人間と同じ空間で寝起きをし、ごはんを食べ、飼い主と一緒に喜んだり驚いたりしている――。

これはもう、ペットというより家族の一員ですよね。
ところがこれだけ人と犬の距離が縮まったからこそ、生じてしまう「認識のズレ」があるとしたらどうしますか?
そして、そのズレが犬にとって大きなストレスになっているとしたら……?

人とは違う犬の行動の意味

イタズラをした犬を叱ったら、犬がそっぽを向いてあくびをしたとします。
こんなとき、人間の子ども相手と同じように接していませんか?

「話をちゃんと聞かないし、あくびまでするなんて、反省が足りない!」と、二重に叱りたくなりますよね。
しかし、これを犬の側からみてみると、まったく別の世界が見えてきます。

・そっぽを向く→あなたと争いたくありません。

・あくびをする→なんか怒っているみたいだけど、落ち着いてほしい。

飼い主が抱いた印象とは真逆の感情が、犬の行動には込められていたことになります。
このように、犬の態度や仕草には犬特有の意味があり、それらをカーミングシグナル(非音声的言語)と呼んでいます。
そのほとんどが無用な争いを避けるために使われるのですが、この意味を誤解してしまうと、犬を大きく混乱させてしまうことに。

そしてその混乱が犬に大きなストレスを与え、犬と人との信頼関係にヒビを入れてしまうこともあるのです。

眠いわけでも、喜んでいるわけでもなかった!?

カーミングシグナルは行動一つに対して意味が一つ、というわけではありません。
前述の例にあげた「あくび」は飼い主に落ち着いてほしいという気持ちを込めたサインですが、別の意味として使われることもあります。

たとえば、自分の愛犬を犬好きの誰か知らない人がなでたとします。そのとき犬があくびをしました。

飼い主:眠いのかな?

なでた人:大人しくなでられている。嬉しいのかな?

人間としては、こんなふうに感じる場面ではないでしょうか。
しかし、これを犬のカーミングシグナルにのっとってみた場合、ここでもまた別の感情が浮かび上がってきます。

犬:知らない人がさわった!やめてほしい。

犬をなでた人に悪気はありませんし、飼い主としても犬が大人しくなでられている姿は、見ていて悪い気はしませんよね。
しかし、犬にとってはありがたい行動ではなかったのです。

犬と人が本当の意味で信頼関係を強くするために

人間の暮らしの中に犬がいる生活は、間違いなく楽しいものです。
しかし、その楽しさが人間側の一方通行であってはいけないのかもしれません。

正しく犬の行動の意味を理解する。このことが飼い主と愛犬の信頼関係を、よりいっそう深めてくれるのではないでしょうか。