cat-201855_640

猫で最も多い病気が腎不全です。老化に伴い腎臓の機能が低下し、食欲がなくなってしまったり、大事な成分が腎臓から排泄されてしまったりします。
腎不全には急性腎不全と、慢性腎不全があり、高齢の猫で多いのが慢性腎不全です。

なぜ高齢の猫に慢性腎不全が多いのか?

15歳以上の猫は30%以上が慢性腎不全という報告があります。多くの飼い主さんに聞かれる質問ですが、はっきりとした理由はわかっていません。
猫は腎臓の濃度(尿比重)が高く、尿を濃縮する際に負担がかかるからではないかという仮説があります。

猫の尿が濃い理由は2つあります。
1つめは、猫の祖先は砂漠に住んでいたため、水分を温存するために濃縮力が高まったという説。
2つめは、猫は尿の匂いによるマーキングを行うため、より強い尿を作れるオスが子孫を残すのに有利であったのではないか、という説です。
濃縮された尿を作る過程で、腎臓のネフロン(尿の濾過、濃縮などが行なわれている場所)が摩耗し、機能が低下していくのではないかと考えられています。

腎不全の症状

食欲不振、体重減少、元気消失、毛なみが悪い、尿量の増加、嘔吐、便秘、口臭などが挙げられます。
腎不全になると、腎臓から排出されるべき老廃物が体に溜まり、気持ち悪くなります(尿毒症)。

猫は病気になっても症状を隠す動物なので、腎不全が進行してから症状が出ることがほとんどです。
腎不全はグレード1~4まであり、数字が上がるにつれ悪くなりますが、グレード1~2では症状が出ないことが多いです。

腎不全の診断

問診や身体検査に加えて、血液検査、尿検査、画像検査を組み合わせて行います。
特に血液検査のクレアチニン濃度の数字によってステージが異なります。

賢不全

腎不全の治療

腎臓という臓器は一度機能が失われると、現代の医療では元に戻すことができません。
これは人間の医療でも同様で、腎臓機能が著しく低下してしまった場合は透析や腎移植などを行わないと生きていけません。

そのため治療は「腎不全の進行を防ぐこと」そして「生活の質を上げること」が目的になります。
生活の質を上げるというのは、苦しみや不快感を抑え、穏やかに暮らせるようにサポートするということです。

療法食

現在、腎不全の進行を防ぐのに最も効果的なのが療法食です。療法食は必ず獣医師の指示のもと与えてください。
腎不全の猫用の療法食はタンパク質、リンなどが制限されています。

よくある問題として、猫が療法食を食べないことがあります。
この場合は、他の会社の製品や、高齢猫用のフード(一般的にタンパク質、リンが低めに設定されている)などを獣医師と相談しながら、食べてくれるものを探しましょう。

対症療法

腎不全に伴い、高リン血症、高血圧、脱水、低カリウム血症、貧血などが起こると腎不全の進行が早くなることがわかっています。
そのため、高血圧であれば血圧降下剤、脱水であれば補益などを行います。
このように、個々の症状や異常に対して行う治療を対症療法と言います。対症療法は進行を遅らせるだけでなく、猫の生活の質も上げることができます。

最後に

上記のように、失った腎機能は元に戻すことができません。早期発見が治療の鍵になります。
特に12歳(人間換算で約60歳)を超える辺りから慢性腎不全が増えますので、高齢の猫は健康診断を受けることをお勧めします。

また小さい頃から色々なフードを食べさせてあげると、将来腎不全になった時に療法食を食べてくれる可能性が高まるでしょう。
慢性腎不全は診断されても数年間元気に過ごすことも十分あります。どのくらいの強度で治療を行なうか(経済的に、時間的に)よく担当の獣医師と相談した上で行っていくことが大切かと思います。