老犬

犬が長生きできる時代になり、「老犬介護」という言葉が聞かれるようになりました。
犬の寿命は人間の寿命に比べるとずっと短いもの。どんな飼い主も、いつか愛犬を介護する日がくるかもしれません。
とはいえ、楽しそうに遊ぶ愛犬の姿を見ていると、なかなかぴんとこないものですよね。しかし、今がどんなに元気いっぱいでも、愛犬はいつか必ず年をとり、老犬になるのです。

老犬になる前から準備しておく

いつもは軽々と飛び乗っていたソファや車に、一発で飛び乗れなくなった――。愛犬が年をとったと感じるのは、こんな瞬間ではないでしょうか。
飼い主としては、年だから仕方がないと思えるかもしれません。しかし、当の犬はどう感じているのでしょうか?今までは当たり前のようにできていたことができなくなる。これは、犬にとっては少なからずショックを受ける、つらい出来事なのです。
それに、足腰が弱り始めた兆候を「年だから」で見過ごしてしまうことはとても危険。落下や転倒などで大ケガにつながりかねないからです。ケガが引き金となり、寝たきりになってから後悔しても、時を戻すことはできません。
そんなことにならないためにも、ペット用の階段や踏み台を使う練習は、早いうちから始めたほうがよいのです。飛び乗れなくなってからあわてて用意しても、多くの犬は慣れない階段や踏み台をなかなか使ってはくれません。
飼い主が抱き上げて乗り降りさせることもできますが、老犬になっても愛犬自身が自力で動けるように導いてあげることは、呆けを防ぐうえでも大切なことなのです。

トイレトレーニングも老犬介護が必要になる前に

トイレにしても同じことがいえます。散歩のときしか排泄できない犬がよぼよぼの老犬になっても、やはり排泄は外でしかしようとはしません。ところが年齢とともに我慢ができなくなり、排泄したがる回数が増えるのです。そのたびに散歩に連れ出せればいいですが、雨天や夜間だからといって、排泄は待ってくれません。
そうなると、飼い主としては室内トイレを使わせたいところですが、今まで外でしか排泄したことのない犬に室内トイレを覚えさせることは至難の業。その結果、おもらしをする回数が増えてしまい、結局オムツに頼らざるをえなくなるのです。
排泄の失敗は、人間が思っている以上に犬にとってはショックな出来事。それに、自力で排泄できなくなると、体は衰えていく一方なのです。
自力で立ち上がれるうちは自力で排泄させたいもの。そのためにも、外でしか排泄できない犬は早いうちに室内トイレの練習をさせておくほうがよいのです。

犬の気持ちを考えた老犬介護のために

寝たきりになった犬は、1日に何度も寝返りをうたせてあげないと、床ずれを起こしてしまいます。排泄が自力でできなくなったら、家中あちこちを汚すこともあるでしょう。痴呆の症状が進んで夜中に大声で鳴き続けるかもしれません。
たとえそうなっても、愛犬の面倒は最後の最後までみる。そう決意していても、介護による疲労や寝不足が、飼い主を心身ともに疲弊させてしまう現実があるのもまた事実です。
犬は、飼い主が喜ぶことが大好きな生き物。その飼い主が老犬介護のストレスで苦しんでいたら、犬にとってこれほどつらいことはないのかもしれません。
犬の気持ちを考えた老犬介護をするためには、飼い主の気持ちに余裕が必要。そのためにも、老犬介護の準備は若いうちから始めるのが一番なのです。