現代の日本では、街中で野良犬の姿を見かけることはまずありません。
ところが、自治体の動物愛護センターや、動物愛護団体、NPOなどには飼い主のいない犬が数多く保護されている現状があります。ほとんどが、なんらかの事情で行き場を失った犬たちです。

里親を待つ犬たちの行く末

身勝手な飼い主によって捨てられた犬。悪質なブリーダーのもとから救出された犬。ここ数年立て続けに起きた震災などで、飼い主が泣く泣く手放した犬もいます。幸せに暮らしていたのに、飼い主が亡くなってしまったことで、突如として行き場を失った犬もいることでしょう。
保護されるに至った事情は様々でも、共通しているのは新たな里親を待っているということ。そして、里親が現れなかった場合、その多くが殺処分されてしまうという、悲しい現実です。

成犬の里親になるメリット

犬を飼うなら子犬から――。そんな感覚が根強くありますよね。現に、ペットショップには可愛い子犬がずらりと展示販売されていますし、保護犬の譲渡会においても、引き取り手が早々に決まるのは子犬です。
子犬は無条件に可愛い存在。成犬よりシツケがしやすいイメージもあるのでしょう。
では、子犬ではなく、保護された成犬を引き取るメリットはあるのでしょうか?
結論から言えば、あります。
子犬を育てたことのある人なら経験があると思いますが、子犬というのは想像以上に手がかかるもの。思った以上にパワフルで、その反面体調を崩しやすいのです。
それだけに、子犬に四六時中振り回されてしまうことも珍しくありません。子犬の世話でヘトヘトになり、ストレスを溜め込んでしまう飼い主さんもいるぐらいです。
その点、成犬はすでに体が出来上がっていますから、体調管理が子犬に比べてしやすいのは間違いありません。
また、見るもの聞くものが珍しくて興味津々の子犬と違い、落ち着きをもって生活が始められる可能性が高いところも、メリットといえるではないでしょうか。

成犬の里親になるために必要な心構え

保護された成犬の里親になる――。それは、一時の感情で決めてはいけないのかもしれません。
保護された犬たちは、行き場を失った犬たちです。もう二度と同じ目にあわないよう、今度こそ終生の家となる里親に引き取られることが望ましいのです。それだけに、多少のことでは犬を放棄しない根気と粘り強さが、里親には求められています。
子犬に比べて成犬は経験したことをよく覚えているもの。人間が思っている以上に心に傷を負っているかもしれません。それが原因でなかなか里親に心を開けないこともあるでしょう。
それでもあせらずに、ゆっくりと犬との信頼関係を築く。その覚悟が成犬の里親には必要なのです。

犬の里親になったからこそわかる喜び

検討に検討を重ねて成犬の里親になることを決意したら、その先は気負いすぎる必要はないのかもしれません。少しずつ少しずつ歩み寄っていけばいいのです。あせることはありません。
一週間後、一ヵ月後、一年後。その過程の中でいつの間にか信頼関係が築けたら、犬好きとしてこれほど嬉しいことはありませんよね。「犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」ということわざを、本当の意味で実感できるかもしれません。