「101,338頭」―この数字を見て、あなたは何を思い浮かべますか?

実はこれは日本国内における、平成26年度の犬と猫の殺処分数です。殺処分による不幸な犬や猫を少しでも減らすべく、殺処分される予定だった犬や猫の一時保護をしながら、里親探しをしている動物愛護団体が全国に数多くあります。

今回は首都圏でも最大級のシェルターを保有して、保護犬猫の救命活動を行っている「NPO法人NPO法人犬と猫のためのライフボート」(千葉県柏市)にお邪魔し、理事長の稲葉様(写真左)と副理事長の塩見様(写真右)にお話を伺ってきました。

図1

 

  • 稲葉さん、塩見さん、本日はよろしくお願いします。

―(稲葉・塩見)よろしくお願いします。

 

  • はじめに、団体の成り立ちについて教えていただいてもよろしいでしょうか。

―(稲葉)そもそものきっかけは、1998年に創業者夫妻が始めた活動です。

もともと動物好きだったのはもちろんですが、ビジネスの経験があったため、保護活動もきちんと事業として継続できる形で行うべきだと考えていました。

そこで地元の保健所に、施設での保護と里親探しをしたい、という話を持って行ったのですが、行政からすれば「前例がないこと」や「問題が起きた時の責任の所在」などの理由で、なかなか良い返事をもらえなかったそうです。

 

  • そのような状況で、ライフボートの活動を広めていくのは、なかなか大変だと思うのですが、どのように活動を広めていったのですか?

―(稲葉)とにかく本州全土の保健所にダイレクトメールを送りました。そうしたら、唯一岐阜市の保健所だけが返事をくださいました。お話を伺ってみると、子犬の殺処分はゼロだったけれど猫については難航していたそうで。これがきっかけで岐阜市と連携することになり、本格的な活動が始まりました。

図6

 

  • 保護犬や保護猫の、岐阜市からの輸送はどのようにされていたのですか?

―(稲葉)岐阜まで引き取り行っていました。当時は年に100頭ほどで現在ほど数は多くありませんでしたが、実績ができたことで山梨県、福井県と協力行政が広がるきっかけになりました。そうして、2007年には念願だった地元の千葉県からも引き取りをはじめることができました。

 

  • お二人は、いつ頃から活動に参加しているのですか?

―(稲葉)2006年にボランティアを始め、2007年にスタッフとして働き始めました。

―(塩見)私は2007年からです。

 

  • なるほど。お二人はほぼ同期でのライフボート参画になるわけですね。現在の活動体制はどのようになっているのですか?

―(塩見)スタッフは17名(4/1現在)で、そのうち12名はフルタイム、週休2日です。

採用活動も行っており、専門学生がインターンにきてくれることが多いです。

図3

 

  • 今現在保護している犬と猫の頭数はどのくらいでしょう?

―(塩見)だいたい犬が60頭で、子犬と成犬が半々くらいですね。ただ、ピークになると子犬が90頭くらいになります。

猫はピーク時だと子猫が200~250頭で、成猫が20~30頭くらいです。ただ、冬場は減る傾向にあるので、一番少ないときだと子猫が10頭、成猫は10~20頭くらいですね。

 

  • ピーク時とそうでないときで差があるのは、どんな理由があるのでしょうか?

―(塩見)これは時期によるものです。とくに子猫は4~5月に増え始めるので、自然と夏場にピークが来ます。逆に犬にはあまり季節の影響はなく、捨て犬自体も減っています。

 

  • 確かに子猫は4~5月に多いと聞いたことがあります。では保護した犬猫をシェルターで飼育するにあたって、意識していることはありますか?

―(塩見)基本的には全ての保護犬猫に里親を見つけてあげたいのですが、どうしてもご縁がなく、シェルターで長期間過ごしてしまう子も出てきます。その子たちにもストレスにならないように過ごしてもらうことには気を配っています。昨年の12月には建設会社様や関連企業様のご協力を得て、新たにドッグラン(下写真)が建設されたので、天気のいい日はそこで走らせてストレスがたまらないようにしています。

図2

あとは譲渡に向けて、たとえば犬なら、いかに早く人に馴れてもらうか、ということを意識していますね。月齢4か月くらいを過ぎてしまうと馴らすのが大変なので。猫は早期に体調を安定させられるかということを重視しています。

 

  • ありがとうございます。それでは具体的に保護犬や保護猫を引き取ってから、里親に出すまでの流れについて教えてください。まずは保健所にお迎えにいくのでしょうか?

―(塩見)はい。千葉県や茨城県の愛護センターには、連絡をして収容されている保護犬猫がいれば毎週お迎えに行っています。山梨県や福井県は大体月1回くらいですね。シェルターに連れて帰ってきたら、なるべく早いうちに駆虫薬の投薬と体重測定を行います。

保護してからは毎日、体重やフードの食べ具合などをチェックしてカルテに記録していきます。

体調が安定してきたらワクチンの接種と不妊去勢手術を行います。安定するまでの目安としては、保護した日から犬は約1週間、子猫は約2週間~1ヶ月くらいです。

 

  • ちゃんと健康状態をカルテで管理されているのですね。里親となることを希望される方がいらっしゃった場合は、どのように保護犬や保護猫を迎えてもらうのでしょうか?

―(塩見)まず、里親さんに施設の概要や保護している動物の説明をします。

図7

内容としては「全頭保健所から引き取っていること」「純血種ではないこと」「野良猫の病気のリスク」「犬は想像以上に大きくなること」「譲渡の諸費用について」などです。

特に犬はほとんどが雑種であるため、どのくらいの大きさになるか予測がつかないことは丁寧に伝えています。

図4

説明の後は家族構成や散歩の時間を取れるかなど、迎えてもらった後の飼育環境についてのヒアリングを行います。それが済んだら、施設のご案内をしていきます。どの犬や猫を迎えるかは、その日に決める方もいますし、何回か足を運んで決める方もいます。ほとんどの方が過去に飼育経験のある方ですが、初めて飼うのでまずは見学したいという方も少なくありません。

 

  • 引き取った後の里親さんとの関係性はいかがですか?

―(塩見)ツイッターやフェイスブックで近況をシェアしてくださったり、メールやお手紙でご連絡くださる方もいます。あとは、引き取られた日を記念日にして、遊びにきてくださる方もいらっしゃいます。

 

  • それは嬉しいですね。逆に今現在で一番大変なことは何でしょうか?

―(稲葉)これから色々と活動を広げていく上で、まだ組織としての基盤が弱いことですね。今できることをやりながらも、将来のための人材や資金を確保することが必要だと思っています。

―(塩見)やはり限られた人数で運営しているので、現場のキャパシティと向き合いながらお世話や収容をしていくことが大変ですね。センターへ犬や猫を迎えに行く移動も大変ですし、洗濯やゴミ捨てなどの日常の仕事も結構量は多いです。

 

  • それでは最後に今後取り組んでいきたい活動について教えてください。

―(稲葉)これまでのライフボートは、元野良犬・野良猫だった動物たちを中心に、保健所からの引き取りを行ってきました。しかし、野良犬猫の減少や、人とペットの高齢化など、社会状況が変化する中で、元飼い犬・飼い猫の飼育放棄問題が今後いっそう顕著になると予想しています。そうした子たちのためのセーフティネット作りにも取り組んで行きたいと思っています。

 

  • ありがとうございました。(※敬称略)

図5

多くの犬猫を保護する愛護団体の活動は、遠方への引き取りや日常のお世話に加え、いつも命に向き合っていて非常に厳しいものです。その活動を支えているのはひとえに殺処分を減らすという強い志ですが、その活動を維持していくためには団体職員だけでなく、多くの方のご支援が必要です。

ライフボートでは現在保護犬猫の里親、そして保護活動への寄付を募集しております。

詳しくはライフボートのホームページをご覧ください。

http://www.lifeboatjapan.org/