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うちの犬の口、なんだか臭う!?

そう思いつつなんとなくニオイに慣れてしまい、そのままにしていませんか?かわいい愛犬ですから、多少臭くても気にならないかもしれません。
しかし、犬の口が臭うということは、ほぼ間違いなく「歯周病」にかかっているということ。
そしてその歯周病が犬の健康をおびやかしているのです。

犬は虫歯より歯周病にかかりやすい

犬は人に比べると虫歯になりにくい生き物です。
その理由は口内のphの違いで、人が6.5~7の弱酸性~中性であるのに対し、犬は8~9の弱アルカリ性です。このため虫歯菌が繁殖しにくいので、虫歯になりにくいというわけです。

それなら歯磨きしなくてもいいのでは?と考えるのは大間違い。

口内が弱アルカリ性になっていると、確かに虫歯はできにくいですが、一方で歯石ができやすいのです。しかも犬は歯垢が歯石に変わるスピードが速く、人の場合およそ20日程度かかるのに対し、なんと犬は3~4日。人の5倍以上という脅威のスピードで歯垢が歯石となって歯茎に炎症を起こす――これが「歯周病」です。
歯周病にかかると腫れた歯肉が歯の根元を押し広げ、だんだんと歯がグラグラとして抜け落ちてしまうこともあります。当然歯やアゴに痛みが出るので、物も食べづらくなります。

さらに恐ろしいのは歯周病のその先

歯周病が厄介なのは歯が抜け落ちてしまうことだけではありません。
歯周病菌が原因となって引き起こされる病気の方が、実はもっともっと恐ろしいのです。

歯石は歯周病菌の塊で、この菌が歯の土台であるアゴの骨を溶かしてしまうせいでアゴの骨が折れてしまったり、上アゴが溶けて膿がたまり、眼窩下膿瘍(がんかかのうよう)やブドウ膜炎を起こした場合、最悪失明することもあるのです。
さらに、歯肉の血管に歯周病菌が入りこむことで血流に乗って全身を巡り、心不全や腎不全、肝不全などを引き起こすこともあります。
つまり、歯周病は単に口が臭くなったり、歯が抜け落ちて物が食べづらくなるだけでなく、犬の命までをも脅かす恐ろしい病気なのです。

大切な愛犬に元気で長生きしてもらうためには、歯周病にかからないのが一番。そのためには、なんといっても歯磨きが大切なのです。
犬の歯磨きを苦手にしている飼い主さんも少なくないようですが、ここは難しく考えずにまずはトライしてみませんか?

犬の歯磨きに必要なもの

○ガーゼ、歯ブラシなど

歯に付着した汚れを落とすために使います。歯磨きに慣れない犬にはいきなり歯ブラシを使うより、飼い主が指にガーゼを巻いて使ったほうが馴染みやすいかもしれません。ただし、ある程度歯磨きに慣れてきたらやはり犬用の歯ブラシを使った方が歯間の汚れも落としやくなります。人間用の歯ブラシでも磨くことはできますが、ヘッドが小さい方が犬の口の中をすみずみまで磨くことができますので、できるだけ犬用の歯ブラシを使いましょう。毛の硬さを選べる場合は「普通」で良いと思いますが、歯茎が腫れている場合は柔らかいものを選んであげてください。

○歯磨き粉・歯磨きペースト

必ず犬用ものを使いましょう。人間用の歯磨き粉はうがいをして吐き出すことが前提になっていますので、犬には絶対に使わないでください。たとえうがいをする必要のない製品でも、犬にとって有害な成分が含まれている可能性もあります。特にキシリトールは犬が肝障害を起こす原因となるため危険です。犬用の歯磨きは飲み込んでも安全な成分でできているだけでなく、犬の好む味やニオイがつけてあることも多いため、歯を磨かれるという行為のストレスを和らげてくれる効果も期待できます。

○スケーラー

歯石を除去するための歯科用器具で、歯ブラシでこすっても落ちない歯石を取るために使います。力を入れすぎたり同じところばかり削ってしまうと歯のエナメル質に傷をつけてしまったり歯茎から出血させてしまうこともあるため、使う際には細心の注意が必要です。犬も飼い主も歯磨きに慣れてから使ったほうが良いでしょう。

犬の歯磨きの手順

1.犬が怖がらずに磨けるポジションをとる

犬は正面から近づかれると身構えてしまうもの。リラックスして歯を磨くために、小型犬なら膝の上に抱っこをして飼い主と同じ方向を向かせましょう。その方が犬に余計なプレッシャーを与えずに歯を磨きやすくなります。犬の体格によっては膝の上に抱き上げることができないこともあるでしょう。その場合は犬の隣に座り、背後から腕をまわして肩を組むような体勢にするとリラックスさせやすくなります。

2.歯ブラシやガーゼで歯を磨く

歯ブラシはペンを持つように軽く持ち、犬の歯にブラシをあてたら小刻みに横に揺らして磨きます。ガーゼの場合も力を入れすぎないように気をつけながら、歯ブラシと同様に磨いてください。必要に応じて犬用の歯磨きペーストを使いますが、ペーストなしでもOK。その場合は少し水をつけてから磨くとよいでしょう。

いきなり口の奥に歯ブラシや指を突っ込むと犬が恐怖を感じます。まずは前歯や横などの磨きやすいところから始めましょう。慣れてきたら歯と歯茎の境目や、奥歯の溝の間などを念入りに磨いていきます。歯石は主に歯の表面につきやすいですが、歯の裏側も見落とさないように汚れを落としていきます。

犬の歯磨きのポイント

○歯磨きは短時間で手早く

汚れをすべて落とそうとするあまり、時間をかけすぎることはNGです。犬にとって歯磨きは本来楽しい行為ではありません。ストレスにならないように短時間で切り上げることが大切です。

○楽しい行為だという演出を忘れずに

磨いている間は常に優しく声をかけ続けましょう。犬にとって飼い主に褒められることは何より嬉しいもの。犬の歯磨きはまずは飼い主が楽しい気分で行い、犬をリラックスさせましょう。

○できれば毎日、少なくとも2~3日に1度

歯垢を歯石に変えないためには、できれば毎日歯磨きをしたいもの。毎日が難しければ2~3日おきに磨くだけでも歯周病にかる確率をかなり抑えることができます。それでも難しい場合はせめて1週間に1度は犬の歯を磨いてあげましょう。まったく歯磨きをしないより断然良いですし、少なくとも1週間に1度でも犬の口の中を点検することで、歯周病の兆候を早めに見つけてあげることもできます。

○嫌がるのをおさえつけて磨いてはいけない

歯周病にかかることを恐れるあまり嫌がる犬をおさえつけての歯磨きは、いくら歯の汚れが落ちたとしても犬にとって辛いだけです。歯磨きは少しずつ慣らしていき、最終的にはすべての歯を磨いても犬が嫌がらなくなることが理想です。焦らずゆっくりと歯磨き上手を目指しましょう。

歯磨きに慣れない犬の場合

犬の歯磨きは子犬の頃から始めることが一番。
しかし歯を磨かかないまま成犬となり、いざ磨こうとしたら嫌がられてしまうこともあるでしょう。そんなときは焦らずに、少しずつ歯磨きに慣らしていくことが大切です。

1.まずは口の周辺や口の中を触ることから

歯磨きを嫌がる子の場合は、まずは口に触ることに慣らしましょう。口の周囲を触ったり、唇をめくって歯を露出させたりします。口を閉じたままの状態で歯を露出させることができるようになったら、次は口を開ける練習をしましょう。口が開けられるようになったら指を口の中に入れてみます。どの練習も短時間で切り上げ、最中は常に優しく声をかけて安心させてあげてください。そして終わったらおやつなどのご褒美をあげることで、この時間のあとは良いことがある、と理解してもらうのです。

2.歯ブラシに慣らす

次に歯ブラシが怖いものではないということを教えましょう。歯ブラシのにおいを嗅がせたり、口にくわえさせてみます。口にくわえても最初は歯ブラシを動かさず、ある程度慣れてきたら少しだけ歯にあててみましょう。上手にできたら必ず褒めることを忘れずに。

3.犬用の歯磨きペーストに慣らす

まずは歯磨きペーストを指につけて味やニオイに抵抗がないか確認しておきましょう。ペースト付きの指を口に入れられたら、次は歯ブラシにつけた状態で練習です。これができるようになったら、いよいよ歯磨きを実践できますね!

歯磨きをどうしても嫌がるときは

犬にストレスをかけて、無理やり歯磨きをすることは避けたいもの。
嫌がる犬は、とにかく時間をかけて根気良く慣らしていくことが大切です。
どうしても歯磨きをさせてくれない場合には、定期的に動物病院で歯石を取ってもらうという手もあります。

犬のオーラルケアは、習慣にすることが肝心。
歯磨きタイムを愛犬と触れ合う楽しいスキンシップの時間にしながら、健康を守ってあげてくださいね。