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犬の爪切りは、愛犬の元気な毎日に欠かせない大切なケアの一つです。
ところが犬の爪切りを苦手にしている飼い主さんが少なくないのだとか。

「犬の爪を切ろうとして激しい抵抗にあい、普段は大人しい子に噛みつかれた」
「深く切りすぎて出血させてしまい、痛い思いをさせてしまった」
…などなど。犬と飼い主さん、双方にとって爪切りがトラウマになってしまうことは、珍しいことではないのかもしれませんね。

しかし、だからといって犬の爪を伸びたままにしておくことはとても危険です。
初めて犬を飼う人はもちろんのこと、犬の爪切りが苦手な飼い主さんも、もう一度犬の爪切りについて見直してみませんか。

犬の爪は自然に削れるものだけど…

犬の足は肉球だけが地面と接し、爪は地面に触れない状態がベストです。

本来は歩いたり走ったりしている中で自然に削れていくものですが、小型犬は体重の軽さや、室内飼いの影響で爪が必定以上に伸びてしまうことがあります。
その点大型犬は体重がある分、小型犬に比べると散歩などで爪は比較的削れていきます。
しかし、すべての爪がバランス良く整っているとは限りませんので、体格に関係なく月1回程度定期的に爪のチェックをして、伸びていたら切ってあげましょう。

犬の爪が伸びすぎると危険がいっぱい

犬の爪は伸びすぎると、どんどんカギ爪のように湾曲していきます。
放っておくと爪だけでなく爪の中の血管や神経まで先端にむかって伸びてしまうため、カギ状に曲がった爪がカーペットや洋服などに引っかかり、折れたり根元から抜けたりするととても危険です。
かなりの出血や痛みがあるのはもちろんのこと、歩くのにさえ支障が出るかもしれません。

フローリングの床を歩いているときにカチャカチャと音がしたら、それは爪が伸びすぎているサイン。この状態では、普通に歩いているだけで滑ってケガをする危険性もありますし、日常的に滑らないよう踏ん張って歩くことで股関節や膝関節に余計な負担をかけ、関節の疾患につながることもあります。また、伸びすぎた爪が肉球に刺さって痛みを感じてしまうこともあります。
犬の足を横から見たとき、肉球と地面が接するラインより爪が下に出ていたら伸びすぎです。速やかに切ってあげましょう。

犬の爪切りに必要な道具

犬の爪切りには使いやすい道具が欠かせません。

1.犬用の爪切り

爪切りの選択はとても重要です。
切れ味の悪い爪きりを使っていると力加減がうまくいかず、思った位置より深く切って大出血させてしまったり、犬に痛みを与えてしまうこともあります。
少々値段が張っても、切れ味が良く、持ちやすく使いやすいものを選ぶことが大切です。
犬の爪切りには以下のような種類があります。

<ギロチン式>
輪状に重なる上下の刃の間に爪を入れてカットするタイプ。持ち手の片方が固定されているので力が入れやすく、初心者にはこのタイプが使いやすいかもしれません。切ったときの音が大きめなので、爪切りの音を怖がる犬に使うときは注意が必要です。

<ニッパー式(ペンチ式)>
工具のニッパーと同じ形状で、刃の合わさる縦方向に切れるタイプです。細かくカットしやすいため、爪の切り口を山形に整えるなど微調整がしやすくて便利です。しかしギロチン式に比べると使いこなすにはある程度のコツが必要になりますので、爪切りに慣れた人に向いています。

<ハサミ式>
持ち手の部分がハサミと同じ形状になっているので、初心者でも比較的使いやすい爪きりです。しかしギロチン式やニッパー式に比べると切る瞬間にかかる力が小さいため、太くて硬さのある爪を切るのには向きません。小型犬の子犬のような細い爪を切る場合は便利でしょう。

2.ヤスリ

爪切りでカットした切り口はザラザラとして角が尖っています。そのまま切りっぱなしにしてしまうと犬自身や人の体を傷つけやすいため、必ずヤスリで角をまるめて断面をなめらかにしましょう。一口にヤスリといっても、平らなプレート状のもの、カーブや角度のついたもの、電動式などがありますので、犬が嫌がらず自分でも使いやすいものを選ぶのが一番です。

3.止血剤

どんなに注意しても、犬の爪を切っていると出血させてしまうことはあります。あわてないためにも粉末状の止血剤を必ず用意しておきましょう。

これら爪切りに必要な道具は、動物病院、ペットショップ、ホームセンターなどで手に入れることができます。

犬の爪の切り方

1.まずは爪の確認

犬を立たせてみて、どの程度地面より爪が飛び出しているか確認しておきましょう。 ロングコートの犬は足先の毛が邪魔になりそうなら、爪がよく見えるように足先の毛を短くカットしておくと爪が切りやすくなります。

2.爪が切りやすいポジションをとる

爪を切る足をつかんでしっかり支え、根元を指で押さえると爪が少し前に飛び出しますので切りやすくなります。
犬に余計な恐怖心を与えないためにも、爪を切るところは見せない方がよいでしょう。
前足の爪を切るときは真正面から向かい合って犬の足をつかむのではなく、犬の横から小脇に抱えるような位置取りにすると切りやすくなります。

高いところに乗せると大人しくなって爪が切りやすくなる犬もいますが、すべての犬がそうだとは限りません。中には爪切りが嫌で高さに関係なく逃げ出そうとする子もいますので、落下にはくれぐれも注意してください。

爪切りを嫌がって暴れる子の場合は、一人より二人以上で協力した方が安全です。一人が犬の脇の下と股関節をしっかりと固定し、もう一人がその隙に爪を切っていきます。余分な時間をかければかけるほど犬はストレスを感じますから、二人で連携して手際よくすすめることが大切です。

また、犬は後ろ足より前足を触られることをより嫌がりますので、いきなり前足の爪から切ると暴れて手がつけられなくなるかもしれません。爪を切る順番はまず後ろ足の爪、それから前足の爪です。 爪切りの最中は犬の気持ちが落ち着くように、優しく声をかけることを忘れないでください。

3.爪の断面は一直線ではなく山形に切る

爪の色が白色であれば血管が透けて見えるので爪を切る位置がわかりやすいのですが、黒などの濃色の場合は血管が見えないので特に注意が必要です。

どの爪の色の場合も、いきなり血管ギリギリの位置を切ろうとせず、少しずつカットして断面を確認しながら爪を切っていきましょう。伸びた部分の爪は乾いていますが、血管の近くになると爪の断面がなんとなく湿っぽくなり、年輪のような模様が見えてきます。血管がすぐ近くにきているサインですから、年輪が見えたらそれ以上切る必要はありません。

また、爪を横一線にカットすると血管を切りやすくなって危険です。爪の中心を頂点とした山形に切ると、爪の中心を通る血管を切りにくくなりますのでより安全です。頂点の尖った部分は微調整のときにカットしてください。

4.切り口をなめらかに整える

爪切りで伸びすぎた部分を切ったら、ヤスリを使って切り口をなめらかにします。
爪きりに慣れない犬はやすりをかける感触を嫌がることがありますので、できるだけ短時間で済ませるようにしましょう。
太くて硬い大型犬の爪は、バランスを整えるだけなら爪切りを使わなくても、ヤスリだけできれいな形にすることができます。

5本目の爪『狼爪』

犬の爪は通常前足が5本、後ろ足が4本ですが、後ろ足に5本目の爪がある犬もいます。
前足も後ろ足も5本目の爪は狼爪(ろうそう)と呼ばれ、前後どちらも地面と接することはありません。
そのため、狼爪はどんなに運動する犬でも自然に削れることがありませんので、定期的に切る必要があります。

切り忘れて伸びすぎてしまうと、湾曲が一周してドーナツ状になってしまうことがあり、こうなるとギロチン式の爪切りでは切ることができません。ニッパー式のハサミで上手に切る自信がない場合は、無理をせず獣医さんに切ってもらった方が良いでしょう。

ちなみに前足に狼爪がない子もいますが、これは生まれてすぐ狼爪を切除しているからで異常ではありません。

焦らず、少しずつ慣らして。どうしても爪切りが上手くできないときは

もし嫌がるようなら一度にすべての爪を切ろうとはせず、今日は後ろ足だけ、前足は明日以降…、というように、あせらずに爪切りに慣らしていくことがなによりも大切です。
しかし飼い主がどんなにがんばっても、爪切りが怖くて大暴れしてしまう犬もいます。

そんなとき飼い主はイライラしたりオロオロしながら押さえつけてしまいがちですが、これではより一層犬を興奮させるだけで、下手をすれば犬と飼い主の信頼関係にまでヒビが入りかねません。
ダメだと思ったら無理をせず、獣医さんやトリミングサロンで爪切りをお願いしましょう。
獣医さんやトリマーさんは爪切りに慣れていますから、そばで見学していると切り方のコツもわかるかもしれません。

爪切り成功の秘訣は、準備と思いきりのよさ

深く切りすぎて血がでたらどうしよう…。
そんなふうに飼い主がびくびくしてしまうと、その不安は間違いなく犬に伝わります。
そうなると犬にとっても「爪切り=ご主人すらおびえるほどの怖い時間」になってしまうでしょう。

爪切りを成功させる秘訣は二つ。 まずは使いやすい道具を事前に準備しておくこと。それから平常心で爪を切る思いきりの良さです。

犬も飼い主さんも無理をしない程度に、犬の爪切りにチャレンジしてみてくださいね!