B-3_nekonosisyubyou

歯周病とはどんな病気なのか・・・「虫歯?」「歯茎の病気?」などというイメージで、あまり詳しく知らない人が多いのではないでしょうか。
(ちなみに、口の中の環境が人とは違うため猫ちゃんに「虫歯」はありません!) 

「歯周病」は口の中の病気ですが、口の中の問題にとどまらず体全体に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。 基本的には、人間の歯周病と定義は同じです。

そんな猫ちゃんにとって怖い「歯周病」について解説していきます。

歯肉炎(しにくえん)【軽症】

歯茎が赤くなったり炎症が起きてしまっている状態。


↓  これを放置してしまうと…

歯周炎(ししゅうえん)【中症】

歯肉炎の炎症の範囲が広くなった状態。


↓  さらに放置してしまうと…

歯槽膿漏(しそうのうろう)【重症】

歯茎が縮んでしまい、歯の付け根と歯茎の間が膿んでしまった状態。


このように「歯周病」は症状によって、次の3段階があります。
最も酷い状態が、歯槽膿漏(しそうのうろう)です。

そして、歯槽膿漏から他の病気になってしまったり、他の病気があることによって歯槽膿漏になってしまったりと、単独での歯周病というよりも、他の病気とのセットの可能性もあるので、たかが歯周病と考えるのは危険です。

他の病気との関連性も踏まえながら、一つずつ詳しく解説していきましょう。

歯肉炎(しにくえん)=歯茎の炎症

猫ちゃんの口の中には、たくさん細菌が住んでいます。
食べかすなども最近が増える原因になります。
細菌に対して、猫ちゃん自身の打ち勝つ免疫力が弱いと、歯肉炎が起きてしまいます。
しかし、大人の猫ちゃんにおいて実に8割近くが、歯肉炎になっているとの統計が出ているのも事実です。

症状

ほとんどの猫ちゃんでは、口の中を開けない限り分からないことがほとんどです。
中には、歯肉炎の痛みや不快感でご飯を食べない子もいます。

治療

基本的には、歯肉炎で病院へ駆け込む必要はありませんが、猫ちゃんが口の中を気にしている様子がある場合は、病院へ行きましょう。 
痛み止めの処置や、サプリメントなどの処方をしてくれると思いますが、対応は病院によって変わるので、しっかりと先生に相談してみましょう。

歯周炎(ししゅうえん)=歯肉炎が進んだ状態

歯肉炎を放っておくと、炎症の部分が広がり、歯周炎となります。
食べかすなどにより、歯石ができることも歯周炎の原因です。

症状

口臭、出血といった症状が見られます。
猫ちゃんにも、痛みが生じ、食欲低下、ドライフードを嫌がる、噛みづらい、口周りを気にするしぐさをする(口を前足で引っ掻くような動作など)といった症状が出てきます。

もともと、猫ちゃんのお口は、魚のような生臭さがありますが、歯周炎の場合、いつもよりも臭いがきつくなったり、腐敗臭・発酵臭のような臭いに感じることがあります。
炎症が起きることにより、ドライフードを食べたりした、少しの衝撃でも出血しやすくなります。

治療

上記のような症状がある場合は、速やかに病院に行きましょう。

治療としては、長時間効くタイプの痛み止めの注射や、飲み薬、サプリメント
といった治療が考えられます。
炎症に伴って起きる感染を防ぐための抗生物質の注射など併用する場合もあります。

歯槽膿漏(しそうのうろう)=歯茎が縮み、歯の付け根と歯茎の間が膿んでしまった状態

歯と歯茎の間には溝があります。
この溝で炎症が進み、雑菌が繁殖しやすくなり化膿してしまいます。
化膿した歯茎は「退縮」と言って、歯茎が下がり、どんどん歯がむき出しの状態になり、最終的に歯は抜けてしまします。
さらに、歯が抜けたところに細菌が入り込んで、進行すると顎の骨まで膿んでしまうこともあるのです。

症状

きつい口臭、食欲不振、元気消失、出血、よだれ、口の周りを前足で擦るようなしぐさなど。

     

治療

痛み止めの注射や、抗生物質の注射が必要になりますが、根本的な解決にはならないことがほとんどです。
麻酔をかけ、付着している歯石や食べかすなどを除去し、歯と歯茎の状態を見ながら、歯を抜くなどの処置が必要となります。
しかし、高齢の猫ちゃんの場合は、麻酔がかけられない場合もあるので、血液検査など、基礎的な猫ちゃんの状態を見てもらった上で、獣医師とよく相談しながら治療を決めましょう。

  

早期発見・早期治療を心がけるためにも、普段からの猫ちゃんとのコミュニケーションを通して、お口の中のチェックをしてあげましょう。

また、歯周病の考えられる基礎疾患(元となる病気)として、猫エイズ、糖尿病や尿毒症などの免疫疾患があります。
もちろん、すべての歯周病に基礎疾患があるとは限りませんが、心配な場合は獣医さんに相談してみると良いでしょう。

猫の歯周病の予防法

きちんと愛猫の歯磨きをしてあげることによって、予防につながります。 歯磨きの頻度は、理想としては毎日1回することですが、最低でも3日に一回はやってあげると良いでしょう。

歯磨きの方法

無理に歯ブラシを使って、ゴシゴシする必要はありません。

     
  • ガーゼを指に巻きつけて優しく擦る。
  • 指サックをはめて、優しく擦る。
  • 市販の猫ちゃん用の歯ブラシを使う。
      

上記のうちのどれかを一つでもできれば、予防につながります。
プラスαとして、猫ちゃん対応の歯磨き粉を用いると、さらに効果的です。
歯磨き粉は、物によってはとても好んでくれる物もあるので、おやつがてら歯磨きをすることもできます。

しかし、すでに歯肉炎や歯槽膿漏になってしまっている場合は、痛みが生じる事が多いため、無理に歯磨きをすることは避けてください。
炎症が進行してしまったり、逆に症状を悪化させてしまうことがあります。
口の中のチェックと合わせて、歯磨きを行っていきましょう。

歯周病の他に、もう一つ。猫ちゃんにとって、他の病気に繋がる症状として「口内炎」があります。

口内炎

口の中の粘膜(歯茎・舌)や、唇の炎症のことを言います。

症状

口臭の悪化、ネバネバのよだれ、食欲不振、口を気にするしぐさ、痛み など。 歯周病と同様の症状が多いですが、口の中を見てみると、違いは顕著です。 口内炎では歯茎だけでなく口の中の至るところが、赤くなってしまっていることがほとんどです。 とても痛いので、ご飯を食べてる途中に「ギャー」と悲鳴を上げたり、毛づくろいが上手くできず、ネバネバのよだれが出るため、毛束になったりします。

治療

痛みどめ、抗生物質の注射、口腔内の消毒、サプリメント などがありますが、単発の口内炎ではなく、他の病気が関わっている場合には治療が異なります。

     

原因

感染性の疾患(ウイルス・細菌・真菌) 代謝性の疾患(尿毒症・糖尿病) 薬物・毒物による影響 外傷 免疫力低下(白血病・エイズ) など

考えられる基礎疾患(元になる病気)として、猫エイズ、猫白血病、猫カリシウイルス感染症、糖尿病、尿毒症(腎不全)などが考えられます。 その他にも、私たちと同様に、体調の変化や不調、栄養が足りてない場合などでも口内炎は起こります。

病気になってしまう前に。普段から猫ちゃんのしぐさやお口のチェックを!

歯周病・歯肉炎・歯槽膿漏・口内炎の4つの病気を紹介しましたが、この4つの病気は単独ではなく、他の病気と関わっている可能性があります。
また逆に、他の病気が原因で歯周病や口内炎になってしまうこともあります。
歯周病や口内炎によって、口の中の細菌が増えてしまい、細菌の発する毒素が体をめぐることによって、免疫低下、腎疾患、心臓疾患、肝臓疾患など、さまざまな病気につながってしまうのです。


猫ちゃんのしぐさなどを普段からよく観察するようにしましょう。
また、普段のコミュニケーションの一つとして、歯磨きの習慣をつけることをおすすめします。
気になる点がある場合は速やかに動物病院に行き、獣医師に相談するようにしてください。