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猫は体調が悪いことを隠そうとする生き物です。
それは自然界において体が弱っていると外敵から狙われやすくなってしまうからです。
本能がそうさせているのですから、もし体調不良でも猫のほうから積極的に教えてくれることは期待できそうにありません。となると、飼い主が猫の体調の変化にいち早く気づきたいところ。
そこで、猫がウンチをするたびに健康状態をチェックしてみましょう。ウンチには体内で起きている変化がいちはやく表れますので、体調の変化を察知しやすいのです。
猫がウンチをしたらすぐに処分せず「硬さ」「色」「におい」「何か異物が混ざっていないか」などをしっかりと観察して、愛猫の健康管理に役立てましょう。

正常な便とは?

正常な猫のウンチとはどんな状態のものをいうのでしょうか。 食べているものや腸内環境に個体差があり、すべての猫が一律に同じ便をするわけではありません。

しかし、正常な便にはある程度共通する特徴があります。

  • 硬すぎず柔らかすぎず、ティッシュでつかんでも形が崩れない。
  • 便を取り除いた後、トイレの砂やシーツに汚れが残らない。
  • 便のにおいはするが、異臭ではない。
  • 色は薄い褐色、黄褐色のように極端に濃い色でもなければ白っぽくもない。

正常な便とは違うとき

下痢や血便などは見るからに異常だとわかりますが、猫がウンチをするたびにチェックしていれば、いつもとの小さな違いも発見できるはず。
そんなときはあわてて動物病院に駆け込む前に、まずはじっくりとウンチを観察してみてください。

■ポロポロの硬いウンチ

便秘気味になっています。考えられる原因としては、

  • 水分の摂取量が足りていない
  • 食事の量が少ないか、食べていたとしても食物繊維が不足している
  • カルシウムが多く含まれているものを食べ過ぎている
  • 環境の変化や気温・天候など、なんらかのストレスを感じている
  • 加齢などにより腸の機能が低下している

などが挙げられます。
思い当たることがあったら、まずはそこを改善することから始めてみましょう。
それでも良好なウンチに戻らない場合は、早めに動物病院で相談してください。

■いつもより柔らかいウンチ

下痢とまではいかないものの、いつもよりウンチが柔らかくなっているときは何か原因があるはずです。

  • 食物繊維のとりすぎで腸が過敏に刺激を受けている
  • 水分のとりすぎや脂肪分の食べ過ぎで腸の働きが鈍り、腸内で細菌やウィルスが増殖している
  • 環境の変化や気温・天候など、なんらかのストレスを感じている

ウンチが硬めになったときと同様に、柔らかめになったときもまずは思い当たる原因を取り除くことから始めましょう。
食事内容の改善や整腸剤を飲ませることで健康な便に戻ったら心配いりません。
しかし、便の状態が悪くなっていく場合は早めに動物病院を受診してください。

■いつもよりウンチが臭い

毎日猫の便をチェックしていると、ニオイの変化にも気がつくようになります。お腹に合わないものを食べたり、食べ過ぎで消化不良を起こしているウンチは臭く感じるはず。

猫は基本的には肉食動物ですから、穀物を多く食べたときなどは消化不良でウンチが臭くなりやすくなります。と言っても、動物性タンパク質や油分を摂取しすぎたときにもウンチは臭くなりますから、やはりバランス良く食べさせることが一番。
ウンチが臭いと感じたら、与えている食事以外にどこかで拾い食いなどをしていないか、食事の栄養バランスはどうかなどを確認し、改善してみましょう。

■ウンチの色がいつもと違う

消化の際、胆汁に含まれるビリルビンという物質の濃度によって排泄されるウンチの色は変化します。

  • 黄褐色…正常な状態
  • 緑がかった黄色…消化不良を起こしている
  • 灰色っぽい黄色…胆汁が不足しているため脂肪が充分に分解されていない
  • 濃褐色…動物性タンパク質が多すぎる可能性がある
  • 黒褐色(タール状)…胃や小腸など消化管の中で出血している可能性がある 早めに動物病院で受診を
  • 血便…血液の赤い色が便に混ざっている場合は大腸から出血している 早めに動物病院で受診を

便秘をしているとき

2日に1回ぐらいのペースの排便があるなら正常の範囲内ですが、数日おきにカチカチのウンチをしているなら、それは明らかに便秘です。 水気のないパサついたウンチばかりをするということは、きちんと水分摂取できていない証拠。また便秘で腸の機能が低下することによって栄養も吸収しづらい状態となってしまいます。

次のような病気の疑いもあるので、早めに動物病院で診察してもらったほうが良いでしょう。

<便秘から疑われる病気>

■肛門嚢炎(こうもんのうえん)
肛門の近くにある肛門嚢という袋状の器官が炎症を起こしている。痛みのせいで排便時にいきむことができず、どんどん中に膿がたまっていく。そのまま放置すると肛門嚢が破裂することもある。

■子宮がん
子宮に悪性腫瘍ができる病気。主な症状は外陰部からのおりもの、お腹のしこり、便秘など。

■肝リピドーシス
脂質代謝異常によって肝機能障害を起こす病気。肥満の猫に多く見られ、主な症状は元気消失、食欲低下、嘔吐、下痢、便秘、黄疸、痙攣など。

■腸閉塞
飲み込んだ異物や腫瘍などが原因で腸管が詰まる病気。主な症状はお腹が膨れる、嘔吐、便秘など。ショック状態を起こすと命に関わるため、早急に受診が必要。

■巨大結腸症
便秘を繰り返すうちに結腸内に便がたまり過ぎて極度に便が出なくなった状態。カチカチに固まった便の隙間から水状の下痢だけが漏れることもあり、下痢と間違われることもある。主な症状は便秘、食欲不振、元気消失、体重の減少、脱水症状など。

■慢性腎不全
腎臓の機能が徐々に低下し、機能不全に陥った状態で高齢の猫に多い。主な症状は多飲多尿、嘔吐、便秘、下痢、痙攣、昏睡など。

■毛球症
セルフグルーミングで飲みこんだ毛を嘔吐や便として出すことができず、胃や腸で通過障害が起きた状態。主な症状は食欲低下、吐き気、便秘など。

液状、水様の下痢をしているとき

固形にならない液状の下痢は、明らかに体調に異変が起きています。
丸1日下痢が続くような場合は、速やかに動物病院で診察してもらいましょう。

<下痢から疑われる病気>

■猫パルボウイルス感染症
感染すると激しい下痢や嘔吐を引き起こし、命に関わる危険がある恐ろしい感染症。主な症状は激しい下痢、血便、元気消失、食欲不振、発熱など。

■リンパ腫
免疫を担う白血球の1つであるリンパ球ががん化する病気。主な症状はてんかん発作、下痢、嘔吐、咳など。

■子宮蓄膿症
メス猫の子宮が細菌感染し、子宮内に膿がたまる病気。主な症状は多飲多尿、腹部の腫れ、下痢、嘔吐、発熱、元気消失、外陰部からのおりものなど。

■糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)
血液をろ過する腎臓内の糸球体がウィルスや細菌に感染して起こる病気。主な症状は多飲多尿、下痢、嘔吐、体重減少、元気消失、貧血など。

■膵炎(すいえん)
膵臓の炎症の中でも急性で症状が重い場合は命に関わる危険な病気。主な症状は下痢、嘔吐、ショック症状、食欲減退、元気消失、脱水など。

■水腎症
尿路が閉塞して腎盂(じんう)に尿がたまり、腎臓全体が拡張した状態。主な症状は下痢、口臭、腹部の腫れやしこり、体重減少、痙攣など。

■トキソプラズマ症
トキソプラズマ(寄生虫)が感染して起こる病気。人獣共通感染症(ズーノーシス)の一つ。主な症状は下痢、血便、嘔吐、咳、発熱、元気消失など。

■瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)
瓜実条虫(寄生虫)が寄生して起こる病気。人獣共通感染症(ズーノーシス)の一つ。主な症状は下痢。

■糖尿病
膵臓から分泌されるインスリンが不足してエネルギー源の糖分(ブドウ糖)を細胞内に取り込めなくなる病気。主な症状は多飲多尿、下痢、食べているのに体重が減少する、歩き方の異常、黄疸など。

動物病院を受診する際に気をつけたいこと

ウンチの状態に異常を発見したら、早めに動物病院で診察してもらうことが一番です。
その際には少しでも診断を正確・迅速なものにするために、異常のあった便を持参するとよいでしょう。
採取する量は親指の先程度で充分。採取した便はプラスチックの容器や紙コップに入れて持っていきましょう。ティッシュに包むと紙の繊維が検査の妨げになることがあるため避けましょう。

一番怖いのは変化を見過ごしてしまうこと。トイレチェックで愛猫の健康を守ろう

猫も人も、体調が良い日もあれば悪い日もあります。
少し便が硬い、少し下痢気味……。この程度で病院に連れていっていいのだろうかと迷うこともあるでしょう。
しかし、猫は自分の口から体調の変化を説明することができません。だからこそ、飼い主による毎日のトイレチェックが大切なのです。飼い主が「おかしいな?」と感じるときは往々にして何か原因があるもの。こんなときは迷わずに動物病院を受診しましょう。
その結果なんでもなければそれでいいのです。一番怖いのは病気の兆候を見逃して、病気が悪化したり、取り返しのつかない状態になることです。
愛猫の日頃の状態をよく観察する習慣をつけ、健康を守ってあげてくださいね。